アンスティチュ・フランセとのコラボレーション企画「第6回映画批評月間 〜フランス映画の現在をめぐって〜」が2025年6月6日(金)〜7月19日(土)に開催されます!
日本ではめったに見られない近作や、隠れた名作を紹介する特集の第6 回目となる今回は、『サターン・ボウリング』が今秋に日本公開されるパトリシア・マズィ監督を迎え、同作品の先行上映のほか、初長編作『走り来る男』から最新作『ボルドーに囚われた女』まで4本を一挙上映。そのほか、カンヌ国際映画祭をはじめとした映画祭や、批評家たちから高く評価された日本未公開作品を8本上映。また「知られざるヌーヴェル・ヴァーグの作家」リュック・ムレを特集します。上映のほか、映画監督、批評家、上映関係者ら多彩なゲストを迎えたトークショーも開催。
さらに、JAIHOでは特別セレクションで8月1日(金)より順次、各作品2ヶ月間限定配信します。詳細は後日発表!
〈パトリシア・マズィ監督特集〉
パトリシア・マズィは、フランス映画で他に類を見ない非常にユニークで力強いスタイルを確立している映画作家です。アメリカ滞在中に出会ったアニエス・ヴァルダの庇護のもと、短編映画を監督し、ヴァルダの最高傑作と名高い『冬の旅』(1985年)の編集を担当。1989年に発表した初長編監督作『走り来る男』以降、マズィの映画は、激情、あるいは断固たる決意をひめたヒロインを主人公とした作品を多く発表しています。フォードとカーペンターというアメリカ映画の偉大なるふたりのジョンをこよなく敬愛するマズィは、広い空間と独特なロケーションを好み、階級闘争や、馬や牛といった動物への情熱、自然との関係を描きながら、人間の紆余曲折した運命に光をあててきました。西部劇風サスペンス『ポール・サンチェスが戻って来た!』、兄弟間の対立を背景に、フェミサイドの問題を浮き彫りにするスリラー『サターン・ボウリング』、そして最新作『ボルドーに囚われた女』はイザベル・ユペールとアフジア・エレジという現代フランス映画を代表するふたりの女優を迎え、世代、階層の異なる女性間の友情が描かれた感動作です。来日するマズィ監督のマスタークラスも開催予定です。
・走り来る男 (1988)
・ポール・サンチェスが戻って来た!(2018)
・サターン・ボウリング(2022)
・ボルドーに囚われた女(2024)

〈批評家たちが選ぶ2022-2024ベスト〉
2022年から2024年までに製作され、世界的にも評価を得た優れたフランス映画から、日本でなかなか見られる機会のない作品を選りすぐり紹介します。
・パシフィクション (アルベルト・セラ、2022年)
第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品
「カイエ・デュ・シネマ」2022年ベストテン第1位
・ゴールドマン裁判 (セドリック・カーン、2023年)
第76回カンヌ国際映画祭監督週間オープニング作品
・ある王子 (ピエール・クレトン、2023年)
第76回カンヌ国際映画祭監督週間出品
「カイエ・デュ・シネマ」2023年ベストテン第10位
・歓喜(イリス・カルタンバック、2023年)
第76回カンヌ国際映画祭批評家週間出品
・テンプル森のギャングたち(ラバ=アムール・ザイメッシュ、2023年)
「カイエ・デュ・シネマ」2023年ベストテン第8位
・イート・ザ・ナイト(キャロリーヌ・ポギ&ジョナサン・ヴィネル、2024年)
第77回カンヌ国際映画祭監督週間出品
・彼のイメージ(ティエリー・ド・ペレッティ、2024年)
第77回カンヌ国際映画祭監督週間出品
・ジムの物語(アルノー&ジャン=マリー・ラリユー、2024年)
第77回カンヌ国際映画祭カンヌ・プレミア出品

〈知られざるヌーヴェル・ヴァーグ、リュック・ムレ特集〉
「リュック・ムレは、ブニュエルとタチの両者を継承するおそらく唯一の存在だ」ジャン=マリー・ストローブ
ヌーヴェル・ヴァーグ唯一のバーレスク映画作家であり、フランスをはじめ世界的にカルト的な人気を誇るリュック・ムレ。18歳でトリュフォー、リヴェット、ゴダール、ロメールらと並んで『カイエ・デュ・シネマ』の批評家となり、名著『俳優作家主義』やブニュエル、フリッツ・ラング、キング・ヴィダーについてのモノグラフを発表。1960年に監督デビューし、1966年からは俳優、そしてプロデューサー(自身の作品だけでなく、ユスターシュやデュラスの作品を製作)として活動。短編から長編まで、あらゆるフォーマット、あらゆるジャンルで38本の映画を製作。コメディ(『ブリジットとブリジット』)、冒険もの(『密輸業者』)、西部劇(『ビリー・ザ・キッドの冒険』)、パートナーである女性と共に製作した実験的作品(『カップルの解剖学』)、日記、ロードムービー、犯罪映画、過激なドキュメンタリー(『食事の起源』)、そして地理や、コミック、文学作品を題材に映画を撮っている。このユニークで特異な作家の世界を発見すべき、本映画祭では、7本の長編映画と8本の短編・中編映画を上映します。
長編作品
・ブリジットとブリジット (1966)
・密輸業者たち (1967)
・ビリー・ザ・キッドの冒険 (1971)
・カップルの解剖学 (1976)
・食事の起源 (1979)
・労働喜劇 (1988)
・ルート17の遭難者たち (2001)
短編作品
・ロングスタッフ氏の亡霊(1996)
・焼け過ぎのステーキ(1960)
・黒い大地(1961)
・地下鉄の改札 (1983)
・メドールの帝国(1986)
・開栓の試み(1988)
・映画館の座席(1989)
・ウニの陰謀(1990)

【概要】
「第6回映画批評月間 〜フランス映画の現在をめぐって〜」
【日程】2025年6月6日(金)〜7月19日(土)
【会場】東京日仏学院エスパス・イマージュ
【料金】一律1,100円(トーク付上映のみ1,500円)。チケットは5/16(金)正午よりPeatixにて発売。